大阪大学産業科学研究所 黒田研究室
岡本 一起 特任准教授
ステロイド抗炎症薬は炎症性転写因子NFkBを直接阻害する事により全ての炎症を強力に抑える。しかし、同時に様々なホルモン作用(ステロイド薬の副作用)を発揮する。特にステロイド薬の長期投与・大量投与が必要な場合、重篤副作用の出現が問題となっている。
発表者は内因性NFkB直接阻害タンパク質の阻害中心を用いた新規抗炎症薬を開発した。本抗炎症薬は種々の炎症モデル動物で強い抗炎症作用を発揮し、さらにステロイド薬が有する副作用を示さない。内因性NFkB阻害タンパク質に基づく開発は、全く新しい角度からのアプローチであり、生体が持つ阻害因子を利用している点で副作用の少ない安全で安心な抗炎症薬の創製を可能にする。